始まりは作り話でOK!?〜イメージ力を引き出すコツ〜



ヒプノセラピーを体験していない人達は「イメージは自然に湧いてくるもの、向こうから勝手にやってきてくれるもの」だと思っています。
「催眠状態に入れば、後は勝手にイメージが出てくるにちがいない。きっと簡単だ」そう考えている人が大半です。

はっきり申し上げて、それは違います。・・・というよりも、「それはすべての人に当てはまらない」と言ったほうがいいかもしれません。

確かに過去生の時代に足を踏み入れた瞬間から、ほとんどチャネリング状態のように自分自身の容姿や状況の描写を驚くほど細かくする方もいらっしゃいます。それは視覚を使うのが得意な人だけとは限りません。感覚タイプや聴覚タイプの人でも同様です。しかしその数はそれほど多くはありません。ましてや初めてのセッションからそういう状態になるというのは、稀なタイプと言ってもいいかもしれません。

過去生の時代に戻って最初にしていただくことは、まず自分が立っている場所の地面の確認です。

地面と言ってもいろいろあります。土、石畳、砂、草原・・・様々です。そして、次に足元に注意を向けていきます。足に何か履いているのか?
下駄、草鞋、ブーツ、ハイヒール、オランダの木靴のようなもの、ひょっとして裸足かもしれません。

そして徐々に全身を見て、感じていきます。

何か着ているのか?ドレス、着物、スーツ、白衣、もしかしたら腰に布を巻いただけの姿かもしれません。そして髪型や髪の色、体型、肌の色、性別、大人か子供か等を確認していきます。早い話が、過去生での自分の姿を知る作業をします。

「イメージは自然と湧いてくるもの、向こうから勝手にやってくるもの」と思い込んでいる人は、大抵この時点で戸惑います。

セラピスト:「あなたは今どんな地面に立っていますか?土ですか?砂ですか?石ですか?」

クライアント:「えっ?地面って言っても・・・何も見えないし感じないし。どうしよう!わからない!なんで見えないの?ひょっとして私ってヒプノセラピーに向かないってこと?でも私は想像力豊かだし、そんなはずはない!そうだ!きっと催眠状態に入っていないからだ!」

焦りのあまり、自分が催眠状態に入っているかどうかまで疑い始めます。こうなった場合、理屈を司る左脳が活発に動き出し、せっかくの潜在意識から送られてくる情報(イメージ)は途切れ、セッションは成立しなくなります。

『これって本当に過去生なの?』の項目で述べていることとは、ちょっと矛盾していますが、最初は「きっかけ」が必要だと思ってください。
長い間忘れていた・・・というより、その存在すら意識していなかった過去生を思い出す作業は、それほど簡単ではない時があります。

例えばそれは、20年ぶりの同窓会で、旧友達と思い出話をしている時と似ているかもしれません。日頃すっかり忘れていた20年前の出来事が、友人と話しているうちに細部まで思い出されてきた・・・そんな経験はありませんか?友人との会話が、あなたの記憶を呼び起こす「きっかけ」となったのです。ヒプノセラピーでも、その「きっかけ」が大きな役割を果たすことが多々あります。

ヒプノセラピーにおいての「きっかけ」とは何か?過去生の記憶を引き出す「コツ」と言ってもいいかもしれません。それは「もし何も見えなかったら/感じなかったら、勝手に自分で作ってしまう」ということです。

「えー!そんなのアリなの?!それって完全に作り話なんじゃないの?」と思われた人もいらっしゃるかもしれませんね。でも、それでいいんです!はっきり言ってしまえば、「きっかけは何でもOK!」なのです。まだ半信半疑の人もいると思いますが、私はこの点に大きな自信を持っています。

これにはちゃんとした理由があるのです。人生で初めて受けたヒプノセラピーのセッション(私がヒプノセラピストの道を歩むことを決意させたセッションでもあります)でのことです。

ある人との間に起こった出来事が、私をかなり落ち込ませていました。いろいろな本を読んでも、いろいろな人の話を聞いても、何も解決しないのです。いくら考えても分からない・・・正直正気を失う一歩手前までいっていたと思います。本当に憔悴しきっていました。

ある日、家で何も考えずただボーっと本棚の前に立って、本を眺めていた時のことです。かなり前に買ったブライアン・ワイス博士の『前世療法』の本が、目につきました。読んだ当初は、なぜか自分の中に入ってくるものや響いてくるものがなく、それ以来読み返すことはありませんでした。

でもその時はなぜか気になり、手に取ってページをめくっていると、次々と自分の中に言葉が入ってくるのです。「ひょっとして今私が抱えている問題は前世が関係しているのかもしれない」そう直感した私は、ヒプノセラピーを受けることを決めました。

そしてセッション当日。セラピストの方もとても良い方で、不安や恐怖等もまったくありませんでした。
「自分は想像力もあるし、イメージするのは得意だから大丈夫」、そう思っていました。
そしてセッションが始まりました。催眠状態にもすんなり入れたようでした。過去生に繋がる扉を開けて、過去生にも問題なく足を踏み入れることもできました。すべてが順調に進んでいました。しかし、問題はここからだったのです。

セラピスト:「あなたが今いるのはどんな所ですか?どんな地面に立っていますか?」

私:「(え?地面?今自分が立っている地面・・・うそ!何も見えないじゃん!どうしよう!)・・・あの・・・何も見えません・・・・」

セラピスト:「それではどんな地面に立っているような気がしますか?」

私:「(そんなこと言われても・・・やだ!何も感じないよー!なんでー?!どうしよう!)・・・・あの・・・何も感じないんですけど・・・」

正直この時は焦りました。「想像力豊かなはずの私が何も見えない、感じないなんてありえない!」ほとんどパニック状態だったと思います。

その時です。セラピストの方が信じられないようなことを言ったのです。

「それでは勝手に作っちゃってください」・・・思わず耳を疑いました。

「この人今、勝手に作れって言った?信じられない!そんなことしていいわけ?それじゃただの作り話じゃん!」
「自由に作っちゃっていいですよ。今どんな地面に立っていたいと思いますか?」彼女はさらにこう言いました。

その時何かが吹っ切れました。半分やけになっていたと思います。「もう何でもいいや!作っていいって言うならそうしよう」

私:「えーっと、固い地面に立っています。ちょっと赤っぽい感じの地面です。(これっていつも仕事で行ってるアリゾナじゃん。いいのかな・・・)」

セラピスト:「それでは足には何か履いていますか?」

私:「(履物?どうしよかな・・・うーん、それじゃネイティブアメリカンの履くモカシンにしておこう)モカシンを履いています。鹿皮でできたようなすごくやわらかい、ベージュのような色の。ビーズの飾りがついています。(本当にこれでいいわけ?思いっきり作ってるし・・・)

セラピスト:「今何か着ていますか?」

私:「(足にモカシン履いてるなら、もうこれしかないでしょー)動物の皮をなめしたような、ストンとした感じのワンピースみたいなものを着ています。膝が隠れるくらいの丈で、髪は真っ黒で三つ編みにしていて背中の真ん中くらいまであります。羽根を一本差しています。(うわ〜ネイティブアメリカンだ〜思いっきり今の仕事と関係してるじゃん・・・本当にいいのかな・・・・どうなっちゃうんだろ・・・)

正直なところ、すごく不安でした。思いっきり自分で作り上げたものだと分かっていますし、何よりも今の仕事で深い関係のあるネイティブアメリカンやアリゾナを引っ張りだしてきたことも、自分の中の願望を無理矢理投影したようで、逆に真実味がないように感じらました。

でもその反面、少し気が楽になったことも確かでした。「勝手に作ってしまってもいい」そう言われたことで、「な〜んだ、それでいいんだ」という、良い意味での開き直りができたのだと思います。「なるようになれ!」そんな感じでした。

・・・・しかし、ここから奇跡を、潜在意識の無限大の力を、私は見せられることになるのです。

その過去生での一番重要な場面、今生で起こったことに対して最も深い影響を与えている場面に移動した時のことです。思いもかけない、自分が予想さえしなかった展開になったのです。確かに始まりは「単なる作り話」でした。

でもそれからの展開は、はるかにその域を超えたものだったのです。その過去生のイメージを受け取りながら、いつしか私は号泣していました・・・

そして理解したのです。自分がなぜネイティブアメリカンの姿を”作った”のか・・・・すべてはもうあの時点から始まっていたのです。思い返してみれば、べつにネイティブアメリカンでなくてもよかったのです。モカシンではなく、下駄でもよかったはずです。選択肢は他にもあったはずでした。敢えて自分がモカシンを選んだ・・・すでにそのことに意味があったのです。潜在意識からのメッセージでもあったのだと思います。

この世には「偶然」というものは存在しません。すべては「必然」です。何となく選んだものにも、思いがけず深い意味が隠されていることがあります。それを信じてください。それを信頼していけば、必ずそこに辿り着けます。私のように、最初は「作り話でもOK」なのです。

進んでいくにつれ、イメージがどんどん湧いてくるようになることがあるかもしれません。でもそれは「きっかけ」があったからです。

「きっかけ」があったから過去生の記憶の扉が開いたのです。

最初のほうは戸惑ったり、なかなかうまくイメージを受け取れなかったりすることが多いと思います。その時こそ、「きっかけ=作り話」が威力を発揮します。加えて、自分の意思とはべつに、思わず口をついて出てきた言葉、感情等にも大きな意味があったりします。思う存分それを利用してください。後はその流れに乗るだけです。


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